寒暖差ケア美の物語

寒暖差ケア美の物語

第5話

前の話 今の話 「実は私、プリテンダーなの。今は就活生をプリテンドしているわ」 「Pretender…?」 聞き慣れない職業に、ケア美は思わずとてもいい発音で返してしまう。優子はケア美の発音に一瞬驚いた表情を […]

寒暖差ケア美の物語

第4話

前の話 今の話 JR水道橋駅を降り、神田川を渡る。やたらと広い歩道に、三角形の模様が敷き詰められていて、ケア美はそのどれかが三角形のイデアなのではないかと思わず訝しむ。 「安心しろ、怪物はいつだってお前の内面にいる」 か […]

寒暖差ケア美の物語

第3話

前の話 今の話 入園式での挫折経験は、けれどもケア美の心を打ち砕くには至らなかった。挫折を通じて、ケア美は美しい“v”の発音を手に入れたのだ。悔しくて唇を噛むたび、おのずと漏れ出てくる“victory”の言葉は、いつもケ […]

寒暖差ケア美の物語

第2話

前の話 今の話 エバーグリーン園長は、羽毛ひとつ舞い立たせないほど軽やかに、それでいて堂々たる様子でステージに着地した。宙に浮いていたわけでもないのに美しい着地をしてみせた園長の姿に、ケア美は恐れおののいていた。 「ヒム […]

寒暖差ケア美の物語

第1話

前の話 今の話 ケア美が幼稚園のドーム爆破に思い至ったのは、入園から1ヶ月後のことだった。 胎児の頃の爆音教育により、ケア美にはいささか攻撃的な性分が備わっていた。目的のためなら、手段を選ばないところがあったのである。 […]