マウンティング用語の基礎知識

た行

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タスク

課題のこと。ただし、日本語で「課題」と言う場合に比べ、処理能力との数量的な相関性のもとに解消されるべき仕事、といったニュアンスが強く打ち出される。おそらく、Windowsの「タスクマネージャー」のようにPC用語としても定着していることが一因である。
結果として、ビジネスシーンにおいて「タスク」という言葉は、あたかもコンピューターのようにフラットな処理によって片付けうるかのような錯覚のもとで用いられる。すなわちそれを解消する際に生じる苦悩や疲労、ストレスといった人間的な生臭さは一切脱臭されるのであり、「タスクがかなり詰まっちゃってて……」などと訴えても良心的配慮は期待できない。素直に「終わりませんもう三日寝てません死にそうです」と訴えるのが身のためである。
なお、「目の前のできることに集中する」という意味の「タスクフォーカス」は、使うと漫画『ハイキュー!!』のファンであることがバレるので注意されたい。

タワマン

周囲を威圧することに特化した巨大建造物。そこに居住することで威圧感の恩恵に与ることができ、物理的にも精神的にも「下々の民」を見下す権利を獲得できる。この権利の分だけ、通常のマンションよりも高額になる。
なお、港区・品川区・世田谷区といった富裕層エリア以外の高層マンションは「タワマン」を名乗ってはいけない。23区外はもちろん、足立区や荒川区もNGである。

タンブラー

飲み物用の、保温機能を備えた容器。ハイボール用のステンレス製グラスのことを指していたり、スターバックス常連であることを周囲に知らしめるために用いられる、フタと一体型のカップを指していたり、カテゴライズしえない概念となっている。
その場に具体的指示対象がなければ、何のことを言っているのかわからないが、とりあえず「あ、この容器温度保てそうだな」と思ったら「タンブラー」と言っておけば古い人間扱いされずに済む。

動物の体内を循環する液体。転じて、親や先祖から受け継いだ生得的な性質や、自身の存在に深く根ざした価値観、本能に由来する習性などを指すことがある。
血統に由来する性質は不変のものと見なされるがゆえに、優劣をめぐる感情につながりやすい。
実際には後天的に身についた性質についても、それが自らのアイデンティティに深く結びついた特性であること、またその性質が他からは得がたい特権的なものであることを示すため、「自分には○○の血が流れている」といった使い方をすることがある。たとえば「大阪の血が少し入ってまして」は、「自分は大阪で暮らしていたことがあるので、お前達とは違うユーモアのセンスが刻まれている」という意味である。

注文住宅

住宅メーカーがあらかじめ設計した規格品としての「建売住宅」ではなく、間取りや設備など顧客側のオーダーに従って建てられる住宅のこと。持ち主のオリジナリティやセンス、財力を周囲に知らしめることができる。なお、注文住宅を建てる際にはウッドデッキを設置しなければならない。

デザイナーズ物件

特定のコンセプトに従い、外観や内装に統一感を与えることで、洗練されたデザインを達成しているマンションやアパートなどを指す。が、明確な定義はないため不動産屋が「デザイナーズ」を呼称すればその物件は「デザイナーズ物件」になる。土地の形状による制約から、生活に適さない間取りになっている物件の価値をでっち上げる際の手法として、「デザイナーズ」の呼称が適用されることも多い。

ととのう

整うこと。乱れた状態に、秩序や調和がもたらされること。
ひらがなで表記するよう厳格に規定されており、かな表記でなければ効果は無に帰してしまう。
俗世において乱された自分自身の存在を、純粋な状態とするには「整う」だけでは不十分なのである。

トリセツ

「取扱説明書」の略。もともと、工業製品などを使用者が扱う際の手順や留意事項を解説する書類であるが、とくに西野カナの「トリセツ。」のヒット以降、「面倒な人間との付き合い方」を指南する表現物を指すようになった。自身や自身の属する人間類型についてのトリセツを掲げることにより、自身が面倒な人間であることを開示するのと引き換えに、横暴な振る舞いについて放免される可能性(一種の見限りの結果としての)を手にすることができる。なお、工業製品の場合にも、人間の場合にも、取扱説明書は読まれないものと相場が決まっている。

ドリブン

driveの過去分詞。何かに駆り立てられている状態を表す。ビジネスの場面では、主にマーケティングやブランディングにおける方針や理念を表示する際、「データ・ドリブン」「パーパス・ドリブン」といった形で用いられる。すなわち、行動の軸や原動力を指す言葉だが、用法の98%において「○○主体」あるいは「○○主導」と言い換えられる。わざわざ「ドリブン」を頻用するのは、マウンティング・ドリブンな精神性を有しているからである。

トレンドカラー

流行色。季節の移り変わりと同時に、形式的に切り替わる仕組みとなっている。
「この夏のトレンドカラーは青!」といった形で雑誌やテレビを通じて大々的に取り上げられるが、街行く人の装いを眺めてみても、特に傾向の変化が感じられることはない。
「一般人の嗜好は操作できる」というマスメディアの強い自負心を多分に含む。

トンマナ

トーン&マナー。ある制作物に通底する様式や調子のこと。テキストの文体やビジュアル面の雰囲気を一貫したものにするべく標榜される言葉。「トンマナがおかしい」は「ちぐはぐな雰囲気」であることを示す。
制作の大まかな方向性を定める際には有意義な概念となりうるが、制作過程におけるトンマナについての指摘は、「なんとなく雰囲気が気に入らない」という漠然とした言明に終わることが多い。

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